私にとっての「代表的日本人」 5人

NHK Eテレの100分de 名著の1月は、内村鑑三の「代表的日本人」だった。この本では内村が選んだ5人の代表的日本人、西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮について批評家の若松英輔氏が解説をしていた。途中から気がついて見たので、実際にテレビで見たのは二宮尊徳の時と今日27日の最後の内村についてだった。

番組全部を見ておけば良かった、それができなくて残念と思わせる内容だった。解説の若松氏の真摯さは心に響くものがあった。

さて若松氏は私たちに自分の「代表的日本人」を書くように勧めている。それは同時に自分を深く知ることにもなる、と。

その言葉に私自身感じたことがあった。昨年、私は5年がかりで時代小説「江戸詰め侍青物栽培帖(欅風)」を書き上げた。最初は自分史的なものかもしれないと思っていたが、もう一つ、実は私が考えている代表的日本人について書いていたのだと気付かされた。小藩ながら桃源郷づくりを進める藩主氏安、氏安を支えた捨聖の叡基、新しい事業の仕組みづくりと複式簿記の導入を実現した文四郎、呉服屋の店主になった侍の新之助、身体が不自由になった人々のために義手、義足をつくる農民郷助、うつ病を克服していく侍の才蔵、そして隠れキリシタンで孤児院を運営する離縁を経験した波江。

最初は自分が人物設定をした架空の存在だったが、書いていくうちに「登場人物本人が納得できるような書き方をしなければいけない」という緊張感が出てきた。その意味では登場人物と対話をしながら書いた、あるいは書かせてもらった、という感じだ。

さて今度は若松氏の勧めに従って実際に存在した人を取り上げて「私の代表的日本人」を書いてみたい。いずれも私の周りの人々だ。私と私の人生を深く知るためなので、恐らく発表することはないだろう。