時代小説「欅風-江戸詰め侍青物栽培帖」自費出版

屋上菜園のHPに連載してきた時代小説「欅風‐江戸詰め侍青物栽培帖」を自費出版・頒布するため、製本作業を現在進めています。今回の発行部数は10部。A4サイズで193ページ。価格は1冊2000円(消費税別途)。購入をご希望の方は阿部の方迄ご連絡ください。

今迄屋上菜園のHPで連載してきたものを今回まとめました。全部で80話です。徳川幕府の基盤が固まった二代将軍秀忠の時代に、時代の烈風が吹く中、自分の生きる道を求めて苦闘していった人達の姿、思いを描きました。

私がこの時代小説を書くキッカケは乙川優三郎氏の時代小説、特に「生きる」だった。そして小説の骨格を与えたくれたのは江戸時代の福井藩の由利公正の偉業だった。さらに最後80話迄書き続けることができたのは磯田道史氏の「無私の日本人」の中の江戸時代の人々の生き様だった。

時代考証、人物描写の点で瑕疵、また単調さからは逃れようもありませんが、私なりに5年間を掛けて書いた意味を噛み締めているところです。

中国の宋の時代の汪信民という儒者が「人はつねに菜根を嚙みうれば、すなわち百事做すべし」(野菜の根は硬くてすじが多いが、これをかみしめてこそ、真に人生の意味を味わうことができる)ということを言った、とのことです。この言葉が洪自誠の「菜根譚」という本の題となっています。

その意味では私という貧しい野菜の根を噛み締めながら書いた時代小説、それが「欅風」ということなのかもしれません。