コスタリカのビジネスモデル

NHKの夜の番組でコスタリカの生物多様性をビジネスモデル的に言えば圧倒的な差別化要素にした国づくりを見て、同感の思いと共に、強い感銘を受けた。コスタリカも以前は森林を切り開き、畑を開き、牧場をつくった。その結果、森は減少していったが、この傾向に歯止めを掛け、逆転していった重要なキッカケは「世界一美しい鳥」の存在だった。この鳥を守るために森林破壊ストップの活動に立ち上がった人々はいた。現在コスタリカは世界一美しい鳥と生物多様性を実際に見るために多くの観光客が訪れ、観光立国となっている。以前農業で生計を立てていた人達も観光で生計を立てている。また生物多様性を新薬の開発にも役立てている。研究所ではある植物から医療のための有効成分の抽出研究を行なっている。世界中の医療機関から依頼が来ているようだ。

子供達に対する自然教育も徹底している。学校の授業の中で取り上げられ、また子供達が森でフィールドワークをしている。現在は非武装中立の国家方針の下、軍隊さえ廃止している。そして教育を最重要の課題としているとのことだ。

私は以前から日本にも生物多様性と四季の変化を特徴とした観光モデルが成立すると考えている。それぞれの地域の生物多様性は現在環境汚染などで危機に晒されているが、手遅れにならないうちに歯止めをかけなければと思う。工場、街、農地から発生する環境汚染物質の発生を食い止め、日本固有の自然を回復させていくことが必要だ。北から南まで亜寒帯から亜熱帯まで弧状に伸び、モンスーン地域に位置する日本は生物多様性の豊かさに溢れた数少ない国の一つではないかと思う。私達の年代が子供だった頃、近くの川ではザリガニ、タナゴ、くちぼそ、ハヤ、フナ、めだかが採れた。野原にはバッタ、トンボが飛んでいた。有機農業は生物多様性の上に成立つ、と私は最近考えている。有機農業を実践することによって生物多様性が回復していく。相互作用と言えるかもしれない。生物多様性を回復するミッション、それは特にシニアに与えられている、と私には思えてならない。