コラムを書く

 

以前明治大学の「阿久 悠記念館」を訪れた時のことだ。陳列されている彼の作詞した曲のジャケットとか著作を見た後、日記が展示されているコーナーで私の足は止まった。阿久さんは几帳面に日記をつけている。いやそうではなさそうだ。私は阿久さんの「作詞入門」(岩波現代文庫)を折りに触れて愛読しているが、その中にこのようなくだりがある。

 

「毎日コラムを書く

日記なんて書いてみてもつまらない。その日の行動を記録したいのなら、スケジュール表で十分である。それより日記を書く余力があるなら、一日一テーマのコラムを書くべきである。その日のうちで、一番書いておきたいこと、感じたことをテーマにして、社会的広がりを持ったコラムに仕上げることをすすめる。・・・何より、毎日毎日、社会に対して、コールしていることに大きな意味があるのである。」(P165~166)

 

私が毎日屋上菜園ガーデンと日本型ビジネスモデルについてのブログを2本書き続けているのはこの阿久さんのすすめによるところが大きい。実際確かに社会に向き合い、コールしている、と感じる。

阿久さんはテーマ選びの基本姿勢として、時代の飢餓感を見きわめ、とらえることを一番に置いている、現代においては、物質がありすぎるということが飢餓なのだ、とも述べている。

この阿久さんの「作詞入門」は作詞のためだけの本ではない。時代に向き合う企画づくりと言うスケールの大きな、私達の日々のビジネスにも、生き方にも大いに役立つ本だ。