価値とは経済的価値と非経済的価値によって構成される
ビジネスモデルの研究をしていて思うことは、ハウツーもののビジネス書に比べやはり「深い」ということである。またビジネス関係の人生訓、ビジネス哲学に比べてやはり「実践的」ということである。ビジネス関係のハウツーものは畢竟「いかに売上を上げるか、いかに儲けるか」に帰着する。経済的効果、定量的数字の世界だ。一方ビジネス関係の人生訓、ビジネス哲学は最終的には「いかにして私は成功したのか」とのストーリーだ。勿論参考にはなるが、私はクロネコヤマトの小倉昌男さん、アップルのジョブスとは全くレベルの違う人間だ。身の丈、あるいは器ということを弁えなければならない。
最終的には自分は自分の与えられた特徴、長所、短所を自分なりに総合して、等身大の自分らしさ、オリジナリティを磨いていくしかない。私はオリジナリティはそのまま「価値」であると考えている。それは他の人と比較して一喜一憂するような性質のものではないと思う。その人独自の価値である。問題はその価値をどのようにして人間関係の中で、組織の中で、社会の中で実現していくか、ということである。その意味で仕事を機能の文脈の中で理解しようとすると人間を見る目も機能的になってくる。一方仕事を価値の文脈の中で理解しようとすると人間に対する見方が根本的かつ全体的になる。人を消耗する企業、最近ではブラック企業と呼ばれる会社があるが、恐らく人間を機能的にしか見ていないのだろう。ビジネスモデルは機能よりも価値を重視する。今後ビジネスモデルの分野でも価値論について更に掘り下げた議論、研究が出てくるのではないかと感じている。価値は恐らく2層構造だろう。経済的価値と非経済的価値。そして非経済的価値の土壌があるからこそ、経済的価値が生まれてくる。私は最近、そう考えている。なぜなら最後はやっぱり人間だからだ。