哲学カフェそしてビジネスモデル・カフェ
哲学者であり、現在は大谷大教授の鷲田清一氏が哲学カフェという集いを大学内ではなく市中で開いている。大阪で始めて現在は全国に広がっているとのことだ。鷲田氏は「臨床哲学」を提唱されている。以前この言葉を聞いた時、この臨床という言葉に私の心が強く反応したことを記憶している。私個人としてはいろいろな問題を考える時、「現場」をキーワードにしてきた。現場とは現在私の目の前に現れている状況、その中に私も責任主体として立たされている場、私が向き合い、問いを立て、解決案を見つけていく私にとっての問題状況、とでも定義したら良いだろうか。私が強く反応したのは、臨床とは現場の更に切迫した状況ではないかと感じたからかもしれない。臨床とは病んでいる状態、さらには死を目前にした状況と考えると、これは人間だけではなく、企業にも当てはまる。さて哲学カフェはデモクラシー的レッスン?の場として鷲田氏は位置づけている。日本人はコンテクスト過剰の「察しあう」コミュニケーション文化の中で生きてきた。共感力もその一つの現れだろう。しかし日本人の場合は共感というより感情移入の傾向が強いかもしれない。鷲田氏は「これからの社会では、それぞれの価値観を異にしたまま、よく考えたうえで口にされる他人の異なる思いや考えにこれまたよく耳を澄ますことで、自分の考えを再点検していくこと、そのようにして視野を広げながら個々に社会運営に参加してゆくことが重要と考え、哲学カフェを設定してきた。」とその思いを吐露されている。
私は来年からビジネスモデルカフェを設定したいと考えている。企業経営者に自分でビジネスモデルをデザインしてほしいからだ。現在そのためのテキスト作成と手法の検討に入っている。企業の運命を決め、発展のための羅針盤を操作するのは経営者だ。ビジネスモデル・デザインという立場から企業経営者を支えていきたい。