日本型ビジネスモデル・「推譲」
小田原に用事があり、帰途小田急線急行に乗った。栢山(かやま)を通過した時、二宮金次郎生誕の地、と書かれた大きな看板が見えた。以前、日本思想体系の二宮金次郎を神田の古本屋で購入し、有名な二宮翁夜話から読み始めたが、江戸時代の文体ということもあり、また内容も相当歯ごたえがあり、しばしお休み状態だ。ところが駅の購買店で東京新聞夕刊を買い、コラム「神つぶて」の講談師 田辺一邑の「推譲」の世に、を読んでいると、二宮金次郎の湯ぶねの湯の教訓が紹介されていた。分かりやすい内容なので、そのまま引用したい。
「これを手で自分の方へかき寄せれば、こっちの方へ来るようだけれども、みんな向こうの方へ流れ帰ってしまう。向こうの方へ押してみれば、湯は向こうの方へ行くようだけれども、こっちの方へ流れて帰る。少し押せば少し帰り、強く押せば強く帰る。これが天理なのだ」(二宮翁夜話より)この話から田辺は言う。「金次郎の真骨頂は・・・現代にも通用する財政再建の手腕とぶれない思想にあります。これからの日本、国はない袖はふれぬ。だとしたら我々自身の手でなんとかしなければなりません。今日のものを明日に、己のものを他人に。『推譲』という思想をビジネスモデルに構築し、譲り合う社会を実現していくしかないと思うのです」
金次郎には「天理」の考えがあった。そして講談師 田辺一邑さんの提案には大いに刺激を受けた。日本思想体系の二宮金次郎をしっかり読んで、「推譲」という思想をビジネスモデルに構築していきたいと改めて思わされたことだ。「推譲」のビジネスモデルはまさに日本型ビジネスモデルになるだろう。