関係性の改善
PDCAというサイクルがある。Plan(計画)、Do(実施・実行)、Check(点検・評価)、Act(処置・改善)の頭文字をとっている。改善を次ぎの計画につなげ、継続的に改善するスパイラルアップが重要だ。さてサイクルと言えば、次のようなサイクルもある。①関係の質②思考の質③行動の質④結果の質。このサイクルの場合、どこからスタートするかで、大きな違いが出てくるという。結果の質からスタートする場合と関係性の質からスタートする場合とがある。多くの場合は、結果の質からスタートする。結果を踏まえて、関係-思考-行動というサイクルがまわっていく。分かりやすく単純化して例を挙ると、売上げが少なかったという結果を踏まえて部下に「このままじゃダメだ。もっと頑張れ」と叱咤する。部下の方は一方的に数字を挙げることを要求する上司に反発する。そのため関係が悪化する。それが考え方にも影響して考え方が消極的になる。あるいは投げやりになる。それが行動面にも出てきて荒い行動になる。他方、関係の質から入る場合、部下の人間性を認め、可能性を信じる。そうすれば部下も意気に感じて、考え方が積極的になり、やる気が出てくる。やる気が出てくると動きが活発になり、そして結果もついてくる。関係性で大事なことは部下の存在と可能性を認め、一緒に取り組んでいくという姿勢だ。この関係性の質を高めるという考え方は、仕事の場だけではなく、家庭という場にも当てはまりそうだ。これは権威主義的やり方ではなく、民主主義的やり方とも言える。この関係性の質を重視するやり方は権威主義的やり方に比べて時間がかかるため、意思決定が遅くなる傾向がある。しかしこれからは「ダイバーシティ全員経営」の時代だ。民主主義の意思決定のスピードアップを図る工夫が求められているが、一方で多様性の力が十分発揮できるような環境づくりも欠かせない。