「出ていくから来て頂く」ためのビジネスモデル転換

 

今日の講演会「東京を甦させる都市緑化と都市農業」の講演の中で、質疑応答の際、出席者の中に中国企業の関係者がいて、質問をして下さった。「そういう商品があるなら、中国に輸出しませんか」以前の私であれば「チャンスがあれば輸出したいですね」と答えていたことだろう。しかし、私はこう答えた。「当社は輸出よりも内需拡大のための仕事をしたい。日本国内でなければ出来ない仕事をして、日本国内の都市、地方での雇用の機会をもっと創り出していきたいと考えていますので、今のところ外に出ていく考えはありません」と。輸出が国内の需要、あるいは雇用の機会を創らない、と言っているわけではなく、要するに日本に来て、日本でお金を落としてほしい、ということだ。そうなるためには何が必要か。3つほど事例を挙げたい。①私の知っている農家Hさんはナスで有名だ。そのためレストラン、日本料理屋がそのナスを買いにわざわざ畑まで買いにくる。②フランスは人口6500万人の国だが、人口を超える7600万人の外国人観光客がフランスを訪れている。③宮城県鳴子温泉郷では有名なお米「ゆきむすび」を外に販売するよりも鳴子に来て、鳴子の旅館等で食べてもらうようにしている。人は本当に値打ちがあり、魅力があると思えば、出かけていくものだ。そして大きな満足感があれば、リピーターになり、時には友人を誘って出かけていく。私が言いたいことは2つだ。商品、サービスをブランド化すること、もう一つは商品、サービスを、それを生み出した場、あるいは環境の中で享受する、ということだ。会社経営に喩えればお客様がやってきてくださる、人間関係で言えば、相手の方がやってきてくださる。100%相手が来てくださるというのは難しいことかもしれないが、出ていくか、来てくださるかの比率を調べてみることは何かの参考になるはずだ。来てくださる比率が高くなれば、移動時間も少なくなり時間の価値も上がっていくだろう。