「半沢直樹」・もう一つの魅力

 「半沢直樹」の驚異的な視聴率にさまざまなコメントが出ている。関係者の間では15%が目標だった。私は日本人が東日本大震災の後、暫くの間バラエティ番組で気を紛らわしていたのが、ここに来て現実を直視して、生きていこう、働いていこう・・・そんな気持の表れもこの視聴率に「出ているのではないか。そんな感じもしているが、やはりTVドラマはリアルさと同時に娯楽性、ハラハラドキドキ、アッと驚く面白さも欠かせないさて第5話。半沢が5億円の回収した後、浅野支店長と半沢の立場は完全に逆転する。最後に浅野支店長は約束通り、土下座して半沢に謝る。浅野が住んでいた社宅を引き払う時、詫びる浅野に対し、妻は笑顔をつくって答える。「おこらないでね。私、ちょっとうれしいの。こんなことになったお陰であなたと又一緒に暮らせるんだもの。・・・迷惑かけたっていいじゃない。家族なんだから。いつか半沢さんにきちんと謝りましょうね」自分の保身と出世に血道を上げていた浅野が人間として再出発する道に「これから一緒に踏み出せるわ、人生はこれで終りじゃないのよ、これからよ」との気持を込めて浅野の妻は諭すように励ます。マニラに飛ばされる浅野は妻の一言で、敗残者という立場から辛うじて救い上げられている。また東田に帝塚山の隠れ家を提供した小村の手紙も私達の琴線に触れてくる。「これは金で買えないものを融資してもらった礼や。半沢さん あんたはバカで、一流のバンカーやった」この手紙を半沢に持ってきた小村の娘は言う。「短い時間でしたが最後に家族に戻れました。半沢さんのお陰です。ありがとうございました」「半沢直樹」には敗れた者にも、救いの道が示される。東田は別にして。もう一つ、「半沢直樹」の魅力は、半沢の怜悧さと度胸だ。人の心の動きを読み、自分の身と部下をまもる洞察力と行動力。「相棒」の杉下右京を彷彿とさせる観察力。「半沢直樹」は引き続き、視聴者の心を鷲づかみし続けるだろう。

最後に小村を演じた俳優はどこかで見たことのある顔なので、気になって調べたら「レッツゴー三匹」の逢坂じゅんだった。上手な演技をするものだと唸った次第。確かモロ師岡もコメディアンだった。ストーリーの中でそれぞれ渋く輝いている。