「決意」についての考察

ジェームズ・アレン氏の著書を最初に読んだのは「考えるヒント」だった。実務的で平易な文章が印象的だった。アレン氏は父親の突然の死で15歳で学校をやめて著述に専念する決意を固め、1902年迄経営アシスタントとして生計をたて、その後経営アシスタントとしての経験を活かして、19冊の本を書き、1912年他界した。48歳だった。その中で「考えるヒント」は聖書につぐベストセラーを言われている。私自身自分の特徴、あるいは持ち味は企画力と考えていた時期があり、その頃、思考法、アイデアの出し方、創造的考え方の関係の本を次から次へと読んだことがある。いわゆるハウツー本だ。ハウツー本の良いところはハウツーを学んで、新しいやり方を覚え気分的に高揚することができて一時的にモチベーションがあがるが、問題は実行しなかったり、実行しても長続きせず、その結果もっと良い方法はないかと新しいハウツー本を買うことになる。「考えるヒント」もその中の一冊だったが、最近「考えるヒント Ⅲ」を読み返していた時、この本の内容の重さに気がつき、確かに聖書につぐベストセラーを言われるだけのことはあると腑に落ちた。例えば、「沈思黙考」の項目。

「真の決意は、軽い思いつき、気まぐれな衝動、曖昧な願望などとは全く異なるものである。それは長く続けられた真剣な思考、長期に渡った苦闘、いまだ満たされていない熱い願望の上に築かれる」

このアレン氏の言葉の解説に「決意は、じっくりと強化されてはじめて、持続性を身につける」。私の場合、過去2年以上、毎日屋上菜園の価値と可能性について真剣に考えてきた。その結果として一般社団法人ジャパンベジタブルコミュニティの設立を多くの同志と一緒に行なうことができた。設立はあくまで始まりだ。これからやるべきことが山ほどある。またさまざまな困難も出てくることだろう。アレン氏の「沈思黙考」の次は「新しい経路」となっている。

「決意とは、従来の思考や行動の流れを別の方向に流すための新しい経路を築くことに他ならない」。その通りだと思う。