あらゆる業態がカフェ化する・吉野屋のピザカフェ展開
吉野屋がナポリタンピザカフェの新業態を開発し、牛丼以外の分野にチャレンジしている。私が注目するのは、イタリアンレストランという名称ではなく、カフェという名称を使っていることである。もう一つはナポリタンピザとメニューを絞りこんでいることだ。後者についていえば、これは吉野屋の伝統というか、DNAのようなものだろう。このメニューを絞り込み「牛丼ひとすじ」をいう考え方は宅急便クロネコヤマトの成功に大きく寄与したことは小倉氏も書いているとおりである。小倉氏は吉野屋の事例から「なんでも運べる良いトラック会社になるという方向は間違っているのではないか。それは抽象的な理解に過ぎないのではないだろうか」と気付かされ、「吉野屋のように思い切ってメニューを絞り、個人の小荷物しか扱わない会社、むしろ扱えない会社になったほうが良いのではないだろうか」と考えた。ビジネスモデル的にはここでのポイントは2つある。一つは抽象的ではなく具体的に理解する、ということである。もう一つは他社の成功したビジネスモデルから学ぶ、その考え方を真似るということだ。さて前者のカフェという名称だ。現在日本人がカフェという言葉にどのようなイメージを抱いているか、これはマーケティング上かなり大きな問題ではないかと私は感じている。少なくとも従来の喫茶店とはイメージが違う。レストランと喫茶店のいわば「いいとこどり」をした業態だろう。美味しいものを食べられて、しかも時間を気にしないでゆっくりできる。先日東京駅前のオアゾ4階のカフェで打ち合わせをしていたら、隣の席の中年女性達が、コーヒーを飲んだり、この店の売り物のハヤシライスを食べたりして歓談していた。レストランと喫茶店の中間で、どのポジションを取るかはそれぞれの収益力と回転率で決まってくるのだろうが、いずれにしえもすべての業態でカフェがそれぞれの個性を持って登場してくることだろう。その場合はカフェのもう一つの重要な潜在的特徴に目を向けていきたい。