お寺テラスと地域の人々

カフェ風のお寺が増えてきている。たとえば神谷町駅近くの「光明寺」。平日の日中限定で「神谷町オープンテラス」として寺院を開放している。約30席分のテーブルやイスを用意、会社員たちが弁当片手にやってくる。もう一つの魅力は春から秋の毎週水曜日と金曜日の僧侶の木原佑健が開く「おもてなし」自家製の菓子と飲み物を提供し、参加者は木原さんとの会話を楽しむ。ここで私はある格言を思いだす。それは「変らないために変る」あるいは「不易流行」。もともとお寺は地域の人々が交流や勉学の場として利用していた。そして折に触れて仏の教えに導かれる人々にとって心の拠り処となるセンターであった。

これが存在意義とも言える。もしそうならどのような時代になっても地域の人々に来てもらうこと、ありていの表現をすればコンスタントな集客が欠かせない。基本を守り続けるためには時代に合わせて変っていかなければならない。不易流行は俳句の芭蕉の言葉で、その意味は「永遠不変のものを知らなければ基礎がつくられないし、流行をわきまえないと新鮮さを持ちえない」そして芭蕉は言う。「その基は一つなり」と。人々は新鮮さに惹かれる。それはその時代に生きる人々の工夫と努力、屈託と創造性が生み出すものであろう。私が好きな芭蕉の句を「奥の細道」から3つ挙げたい。

 

□閑さや岩にしみ入蝉の声

□暑き日を海にいれたり最上川

□荒海や佐渡によこたふ天河