ぎょうざの満州

 

今日は餃子について。過日、小田原の屋上緑化のメンテナンスの仕事を終えて、何か虫押えになるようなものを食べたくて、鴨宮の駅につながる商店街を歩いていたら、感じの良い、小さな餃子の店があったので、早速入った。美味しい餃子を食べながら、ご主人と話していたら、満州からの引揚者が日本で餃子を広めたとのこと。満州は餃子が美味しいところだったらしい。このお店のご主人のお父さんも満州帰り。さて昨日、場所は変るが、家の近くの「ぎょうざの満州」店に入った。ナス炒めセットを頼んだ。まず餃子が来た。早速箸をつける。小振りの餃子だ。大きさは鴨宮の餃子店と同じくらい。確かにうまい。テーブルのところにグリーンのチラシ「満州通信」があるので読んでみると、ぎょうざの満州の経営理念は「3割うまい!!」アレ?3割というのは平均に対して3割うまい、という意味なのだろうか。野球の選手も3割の打率に達すれば一流選手だ。一流のうまさ、ということだろうか。などと考えているところにナス炒めが来た。大きな皿にかなりの量のナス。食べてみるとこれもうまい。3割うまい!!は「うまい、安い、元気」を表しているとのことだが、確かに満足感がある。ナス炒めの量が多く、ご飯が足りないくらいだった。餃子で使っている食材は全部国産だ。安いとなると中国産の材料を使っているのではないかと不安になるが、それもない。満足感と安心感を与えてくれる。他方、旅館も経営している。群馬県の老神温泉東明館。温泉と餃子が自慢―源泉かけ流し湯宿とパンフレットにある。さてこの「ぎょうざの満州」のビジネスモデル的要素はどこにあるだろうか。現時点では店の様子、また私が食べた印象、そして店内に置かれたパンフレットからしか判断できないが、「これが差別化要素ではないかな」と思った項目を挙げたい。

1.まず第一は餃子の大きさとニンニク味だ。大体餃子というと大振りでニンニク臭く、男性が主に食べるものというイメージが強くないだろうか。ぎょうざの満州は女性客も安心して食べられる小振りのニンニク臭くないぎょうざを開発した。つまり顧客セグメントは「女性」。

2.価値提案は皮の食感も含め、穏やかな美味しさだ。その気になればいくらでも食べられる。例えばラーメン。味の濃いラーメンは、最初は「うまい!」と思うが、そのうまさが続かず、飽きてしまい、最後は残すことになる。

3.顧客チャネルは店内で食べるお客だけでなく、冷凍したぎょうざを持ち帰りで販売できるように陳列棚がある。そうしたお客さんもレジに並んでいる。また宅配もやっている。満州通信に記載されている店舗は鉄道の沿線に展開している。東武東上線、高崎線・宇都宮線、西武池袋線・新宿線、青梅線・中央線、東武スカイツリー線。これは何を意味しているだろうか。

4.ぎょうざの満州はこれから旅館経営を更に拡大していくのではないだろうか。温泉旅館も温泉だけでは差別化は難しい。そこに美味しいぎょうざが加われば確かに差別化は際立つ。稼動率が上がる。また旅館経営を通じて接客の技術を磨き、それを各店舗に還元することもできる。

5.埼玉県には食品スーパーのヤオコーといい、ぎょうざの満州といい、独自の成長戦略を持った企業がある。ぎょうざの満州については引き続き注視していきたい。

ということで満足感と満腹感で満たされて750円払って店を出た。