これからの会社のあり方

これからの会社のあり方を考えてみるキッカケになったのは、日本の起業件数がアメリカに比べて少ないと、ということだった。経済の活性化のためには、やはり元気な企業が沢山生まれ、イノベーションの波を産みだすことが大事だ。会社の形態は最近では会社法の改正により多種多様になったが、私はプロジェクトベースの起業がもっと増えても良いのではないかと考えている。つまり「時限会社」だ。メイフラワー号が新大陸に移住する際時限会社の方式が使われた。「時限会社」は株式会社制度の原点に戻る試みでもある。プロジェクトの目的が達成できたら会社を解散する。資産・資本はあらかじめルールを決めておいて会社の関係者、ステークホルダーに解散時に配分する。日本の場合、会社と経営者とは運命共同体になりがちだ。従来、銀行は会社に融資する場合、社長から個人保証を必ず取り付けていた。そのため会社が倒産すれば、社長は自宅も含めて生計を立てるための資産を失い、場合によっては借金を抱えることにもなる。日本の年間自殺者約3万人の中で倒産した経営者の数は少なくない。最近地方銀行の中で、個人保証を取らないケースが出てきているようだが、私は良い傾向だと思っている。やはり融資の前提条件は、事業内容の確実性と実現可能性・収益性の高さだろう。その意味では事業を起こしてからのコンサルティングではなく、事業を始める前のコンサルティング、そしてビジネスモデルデザインが重要だ。事業は思い付きとか熱意だけでは成功しないが、やって見なければ分からないこともある。その意味では「小さく産んで大きく育てる」という戦略が有効だ。所要資金を銀行に頼らず投資家を集めて直接市場から調達する、というやり方もある。会社経営の最大の特長は資本を増やす、自己資本比率を上げる、というところにある。これが自営と大きく異なるところだ。若い人の中で、特に女性の起業が多くなっているようだ。成熟社会の商品・サービス開発のために女性が果たす役割は大きい。日本でも起業件数が増えるように私も及ばずながら貢献したいと思う。