すべての実店舗はショールミング化する可能性がある

消費者が小売店の売り場で衣料品や家電製品を下見した後、通販サイトでより安い価格の商品を探して買う消費行動、ショールーミング。実店舗がネット通販のショールーム化するためこのように呼ばれている。アメリカでは2010年頃から本格化し、小売店の販売不振の要因になっているとのことだ。日本でもゾゾタウンがサービスを開始して、数日で10マンロードを記録。今後広がる気配を見せている。製造小売業の場合は、店舗からでもネット通販からでも注文が来れば良いので、余り大きな問題はないのかもしれないが、小売店にとっては大問題となる。小売店が店頭に並ぶ服のタグをスマホで読み取らせないという対策もあるだろうが、やはり顧客、特に若い世代の利便性を損なうことになるようだと販売不振に陥る可能性が出てくるのではないか。今後小売店は「このお店で買いたい」と顧客に思わせる何かを打ち出していかなければ、顧客にソッポを向かれてしまうだろう。東急ハンズは商品の実演販売と商品を使っている生活シーンを見せる、という方針を出している。伊勢丹新宿本店は衣食住の流行を週替わりで展示するスペースを店内の21箇所に設けているとのことだ。いわば商品というモノの事(コト化)、さらに言えば物語化と言えるかもしれない。新しい発見、選択、共感、そして感情に響くことによって顧客は購入行動に出る。一方顧客の利便性を高める取り組みも始まっている。クロスカンパニーの試着専用店、ユナイテッドアローズのスマホで在庫のある最寄の店の案内などの取り組みが顧客にどこまで評価されるか、注目していきたいと思う。いずれにせよリアルとネットの相乗効果を考え、その業態に相応しい形で実現しなければならない時代になっていることは間違いないようだ。