ふたたび屋根緑化・自然の力で涼しい夏を

 

生き物として、人間は汗をかき、その蒸散効果で体温を下げているが、汗をかく汗腺は退化しやすく、汗腺の機能を回復させることが大事だと、ある医者が言っていた。人工的空間の中で、冷暖房完備というのは一見良さそうだが、人間の本来の生理的活動面から考えると問題があるかもしれない。さて考えたいことは夏場の冷房問題。熱帯夜を乗り切るためには扇風機、扇風機でだめならクラーをかけることになる。最近は室内に居ても熱中症にかかる人、特に高齢者が増えているから、夏場は日中でもクーラーの涼風が欲しくなる。夏場は家庭の電力消費のほぼ半分をクーラーが占める。今後高温化と夏の長期間化が進むようなことになった場合、一方で電力供給不足、他方で電気料金の値上げとダブル・パンチが家庭を襲うことになる。屋根に太陽光パネルを設置して発電する、つまり電気を増やす措置を否定するつもりは全くないが、やはり節約できるところは節約すべき、ではないだろうか。この場合、暑いのに痩せ我慢して、熱中症にかかってしまうということではなく、自然の力を上手に活用して、部屋の中の温度を下げる、そして汗をかくときは健康な汗をかく、という自然のライフスタイルを部分的にでも取り入れてみたらどうだろうか。2011年6月4日、山梨県南アルプス市で屋根緑化の温度測定実験をしたところ、一番暑くなる午後1時頃、外気温は37℃、屋根緑化した室内は24℃と13℃低かった。一方屋根緑化していなかった室内は31℃と暑かった。室内の湿度が50%台を超えず、温度が28℃以下であれば、「暑い!」とは感じないようだ。今年は7月から8月、屋根緑化の温度実験を再度行なう計画だ。屋根緑化をすればまったくエアコンは必要ない、という積もりはない。言えることはエアコンの使用時間を減らすことができるということだ。基準は28℃と湿度60%あたりになるのではないか。自然の力を上手に利用して、電力の使用料を減らし、快適に猛暑を乗り切っていく。屋根緑化はその切り札の一枚になると期待している。特別に難しい技術はない、土と緑を使う手軽な方法だ。