わざわざ出かけて行く理由は何か

 

ネットの浸透によりわざわざお店に行かなくても自分の欲しいものが買える時代になった。

映画も少しタイミングはずれるがDVDを借りれば自宅でも映画鑑賞ができる。外出しなくても自分の家で用が足りるケースが増えてきた。混雑する都心にわざわざ出かけるのは億劫だという向きには便利な世の中になった。しかし店舗側にしてみると出かけてきて商品を買ってくれないことには「商売上がったり」という事態になる。出かける側にしてみると、出かけた甲斐、そこに行かないと享受できないメリットが欲しいところだ。その意味でも東急ハンズの今後の取り組みに注目したい。榊社長は「商品の実演販売員を2倍以上に増員するほか、商品を使っている生活シーンが分かるような陳列も増やす。インターネット通販にない店舗での提案力を高めていきたい」と危機感を募らせている。大阪のあべのハルカスもそうだが、今後店舗のあり方も変っていき、劇場型の要素も加わっていくのではないだろうか。そのためにはプロデュース力、演出力そしてプレゼン力が重要になってくる。接客して買って頂く、というだけでは店舗にお客様を引き止めておくことが出来ない時代が来ているのかもしれない。また1店舗だけの努力ではお客様を引き付けるためには限界もあるだろう。店舗群全体でお客様を引っ張ってくるという共同作業も求められるはずだ。買物をするということで、何らかの新しい発見とか楽しく、有益な経験を購買者が持つことができれば、購買者は繰り返し店を訪れてくれる。そして最後に一つ。デパートにしても、商業施設にしてもフロワーに休息場所が少ない、というか殆どない。買物は楽しい面も当然あるが、やはり店内を歩いていると疲れる。ちょっと腰掛けて休みたいと思う。しかし、探しても見つからない。店側、あるいは店舗ビルの経営側に言わせれば、高い店舗スペースを直接お金を生み出さない用途には使えない、また疲れたらそのために店内にカフェがあるのでそちらをお使いください、ということのようだ。これからの高齢化社会、店舗の中の施設ももう少し高齢者に寄り添ってほしいと思うが、そう思うのは私だけだろうか。