アリス・ウオーター「美味しい革命」
アリス・ウオーターについては田中愛子さんから聞かされ初めて知った。そのような女性がアメリカのベトナム戦争反対運動の中から、本当に社会を変える活動を食の世界に求めレストラン「シェ・パニーズ」を始めた。若きアリス・ウオーターはバークレー近隣の農家を訪問し、オーガニック野菜を栽培するようにお願いしながら「地産地消と無農薬有機栽培」のコンセプトを貫いた料理を提供し続けたとのことだ。どれほどの苦労があったことだろう。アリス・ウオーターのレストランは当時のアメリカの食文化に対する強烈なアンチ・テーゼではなかったか。当時の社会にとっては特殊な考えと実践であったろうが、食の重要性が広く認識されるようになった現在、アリス・ウオーターの「地産地消と無農薬有機栽培」は普遍的価値になってきている。まさに政治ではなく食によって社会を変えていく、いやパラダイムを転換していく革命だ。苦々しい革命ではなく、美味しい革命。近い内に『美味しい革命 アリス・ウオーターと「シェ・ハニーズ」の人々』(早川書房)が届く。楽しみだ。