オープン・サービス・イノベーション 製品とサービスの違い

  

チェスブロウによると「サービス活動は製造活動と大きな違いがある。製品が売られると製品提供者の仕事は完了する。一方サービスの取引では、サービス提供者の仕事は顧客のニーズが満たされるまで終らない。企業は多くのやり取りの中で、顧客生涯価値(ライフタイムバリュー)について考えなければならない。満足度を高め、満足した顧客からもっと価値を引き出せば、カスタム化されたソリューションが生まれるかもしれない」具体的に考えてみよう。現在弊社ではビルの屋上あるいはマンションのベランダで野菜栽培をするための簡易キットを販売している。野菜栽培はやはり栽培のセオリーがある。そこでキットを買ってくださったお客様の中で希望者の方には低料金でのアドバイス・サービスを用意している。いわゆる製品のバリューチェーンの最後に付け加えられた経済活動とも言える。この経済活動は顧客満足度を上げるための措置であり、この経済活動はどうしてもコストセンター的性格を持つ。このような付加的はサービスをつけてキットを販売することで、何か顧客に変化を与えることができるだろうか。いや今迄変化を与えてきただろうか。変化とは何か。顧客の中に変化を生み出すためには、やはり顧客と一緒に創り上げていく、という方法が有効だ。その中で顧客は変化を経験していくだろう。現在の一方通行的なやり方ではそれがどんなに上手に行なわれたとしても、変化には限界がある。バウモルの定義で注意しなければならない部分は、両者とも経済主体、つまり主体なのだ。主体―客体の関係ではない。ここでは一方通行的やり方は成立しない。新しい定義のサービスを実現するためには顧客インサイトが重要な鍵を握る。屋上菜園という製品を売るのではなく、屋上とかベランダという身近なところで野菜を育てる楽しさを、顧客と一緒に創り上げていかなければならない。野菜づくりは新しい定義のサービス業の最たるものかもしれない。