キリスト教の真実
ちくま新書から出版された「キリスト教の真実―西洋近代をもたらした宗教思想」を読んでいる。寝る前に少しづつページを繰っている。著者はパリ在住の文化史家・評論家の竹下節子氏だ。この本はキリスト教のどのような真実を明らかにしようとしているのだろうか。ダビンチコードのようなイエスの血脈をたどるようなミステリーではなく、まさになぜキリスト教が西洋近代をもたらしたのか、その真実に迫ろうとしている。ターニングポイントになるのはローマ皇帝コンスタンチヌスによるキリスト教の国教化だ。当時にヘレニズム世界は文化的には世界最高水準だった。アテネのアレオパゴスでパウロはキリストの死者の中からの復活まで演説したが、殆ど関心を持ってもらうことができなかった。
非合理的な空想的な話と思われたのだろう。
それでもパウロの言葉を信じて信仰に入った人達もいたと聖書の「使徒の働き」は伝えている。アレオパゴスの裁判官と女の名前が挙がられているが、おそらくごく少数の人達だろう。そのキリスト教が約250年後の神聖ローマ帝国の国教となった。竹下氏によればキーワードは「キリスト教の普遍主義」。読みながらワクワクさせられる本の一つだ。