コンシェルジェとおもてなし
何事についてもその本当の意味は何なのか、を折りに触れて考えてみることは大切なことだと思う。ちょっと昔風に言えば、「それはそもそも何なのか」ということになるだろうか。
最近読んだ良品計画会長の松井忠三氏の「無印良品は、仕組みが9割」で売り場とは何かと定義している個所があった。(P88)ネスレで「キットカット」の独自の価値を開発し、ヒットさせた高岡氏は「キットカット」の一番基本になるコンセプトに迄遡った。それは「一息つくときに、キットカットを」だった。高岡氏はこのコンセプトを消費者の気持ちの中に棲み込むことによって、コンセプトを市場のニーズ、ウオンツに合うように意味を変換した。つまり再定義した。再定義した内容は「ストレスからの解放」
定義は建物に例えれば土台となる。この土台は時代に合わせて再定義する必要のあるものだ。企業・組織の中では目先の利益、毎日の忙しさに追われていつの間にか土台を忘れてしまうことがある。「そんなことを議論している暇があったら営業に出ろ!」という声も聞こえてきそうだ。しかし今ほど企業と消費者の関係が問われている時代は無いのではないだろうか。自社は何のために存在しているのか、自社の商品・サービスは消費者にとって本当に必要とされているのか、根本に帰って議論することは、決して無駄なことではない。最近コンシェルジェという言葉が多く使われるようになった。またおもてなし、という言葉も流行語になっている。その本来の意味を自分なりに定義し、自社の商品・サービスの中で「肉体化」していくことが大切だ。自社にとってコンシェルジェとは?自社にとっておもてなしとは? 受け売りではなく、咀嚼・吸収して自社の独自の価値にしていく努力が求められている。