サーバントリーダーシップとその役割・逆ピラミッド組織

サーバントリーダーシップという考え方がある。最近読んでいる本の中でそのような言葉は使ってはいないが、実質的にこのような考え方で会社を着実に成長させているある社長の言葉に触れた。私自身、これから会社を発展させるためにはサーバントリーダーシップでいくべきだと思っているので意を強くした次第だ。

さてこの考え方では会社の組織図が通常のピラミッド型ではなく、逆ピラミッドになる。私がこの考え方に触れたのは前の資生堂社長池田守男氏の講演だった。会場は確かホテルニューオオタニだった。池田社長は在任中今迄の資生堂のあり方と根本的に変える大改革を実施した。

一つは店舗を中心とする改革で、店舗への押し込み販売を止めさせた。これが「店舗中心」の逆ピラミッドの改革であった。一番上がお客様、その下にお客様に接する店舗、その下にそれを支える社員、一番下が社長、という組織図で池田社長は、それをサーバントリーダーシップと説明していた。就任後直ちに店舗改革を断行し、350億円の化粧品在庫を焼却処分した。日々お客様に接する店舗から市場の変化、消費者のニーズを即座に把握して生産に反映させる、在庫を溜めないというのが基本方針だった。資生堂本体の決算対策のための売れないものを仕入れざるを得なかった店舗は悪しき商慣習から解放されることとなった。池田社長はこの「店舗中心」という考え方を徹底すべく、350億円を煙にし、大量生産の象徴であった最新の新鋭工場を閉鎖した。組織はお客様のためである、そしてお客様と日々接する店舗こそ資生堂の「主役」であることを全社員に焼き付けた。組織の逆ピラミッド化だった。講演では池田社長から配られたレジュメを見ながら、サーバントリーダーシップという考え方に目が開かれた思いだった。その後池田社長はモノからヒトの問題に取り組んで行かれた。

会社の人口構成、年齢構成は50代が圧倒的に多く、20代、30代が少なく、逆三角形となっていた。毎年採用する新卒も少なかったが、04年12月創業以来初めてとなる50代社員の早期退職に踏み切った。当然役員達は猛反対したが最終的に1364人が退職、同期は特別加算金のため赤字に転落したが、この結果新陳代謝が進むようになり、多くの新入社員が採用できるようになった。そしてこの早期退職を見届けるようにして、池田氏は社長の座を去った。会社の組織を「店舗中心」にするために社長が一番下にくる逆ピラミッド型組織に、人口・年齢構成の面では逆ピラミッドを正三角形へ。そして池田社長は昨年5月天に召されていった。