スイスから学ぶこと
スイスは11月30日に実施した国民投票で2つの提案を否決した。一つはスイス国立銀行に資産の20%を金にすることを義務付ける提案、もう一つは1年当りの移民の流入を人口の0.2%と現在より大幅に減らす提案だった。因みにスイスの外貨準備としての金保有高は1040トンで外貨準備に占める金の割合は7.5%。日本は765トンで2.4%となっている。今回の提案否決で金もスイスフランとも売り材料と見られており、スイスにとっては強すぎる通貨を安値に誘導する効果があると期待されている。
一方移民の件だが、スイスは外国人に開放的な国と言われている。経済界ではネスレ創業者のアンリ・ネスレはドイツ人、スイスの時計産業を復興させたニコラス・ハイエクはレバノン人だ。「ビジネスモデルジェネレーション」では、ハイエクのビジネスモデルへの取り組みを紹介している。「戦略」の中の「SMHのスウオッチに対する自律型モデル」だ。(P234)ハイエクが打ち出したのは<ライフスタイルを伝えるメッセージとしての時計」だった。電車に乗った時、隣に座った女子高校生2人がスウオッチの長い時計バンドを手首に巻きながら話合っていた場面に遭遇したことがある。
スイスは小国ながら凄い競争力を持ち、また豊かな国でもある。1人当りの国内総生産(GDP)が8万ドルを突破しているが、日本はその約半分4万6千ドルに留まっている。私は最近成熟社会、クオリティ社会、幸福な社会という言葉に接する時、日本の先を行っている国を探すようになった。さしずめスイスはクオリティ社会ということになるだろうか。