スタグフレーションと中小企業が生きる道

安倍政権が発足してから景気が回復してきたように見える。三本の矢の一本目・金融緩和二本目・財政政策、三本目・成長戦略を背負って走り始めている。大企業は円安の影響もあり業績が好転しているところが増えてきた。ベースアップも相次いで発表している。しかし、本当に景気が良くなったと言えるのは全産業の7割を占めると言われる中小企業の業績が改善した時ではないかと私は考えているが、ただかつてのようなパターンは難しいのではないか。これから日本が直面する可能性が高いのは、不景気下のインフレ、スタグフレーションだ。以下スタグフレーションの説明を引用する。

スタグフレーション(stagflation)とは、スタグネーション(stagnation:停滞)とインフレーション(inflation:物価上昇)を合成させた言葉で、景気後退局面にありながらもモノ不足によりインフレの状態となることを意味する。

過去の例で言えば、1970年代のオイルショックの際に原油価格が4倍に跳ね上がり、日本を含む多くの国がスタグフレーションに陥った。一般的に不景気の中ではデフレ圧力がかかりやすいが、賃金の上昇が見込めないにも関わらず物価が上昇することから、最悪の経済状態と言われている。別名、スランプフレーションとも。

今後中小企業は円安のため材料費も含めコストアップを余儀なくされるだろうが、それを販売価格に転嫁することは売上維持のため、なかなか出来ないというジレンマを抱えることになるのではないか。倒産するところも増えてくると予想される。このような時代、中小企業、零細自営企業にとって生き延びるためには何が必要か。私は2つのことを提案したいと思う。一つは社員、スタッフ、チームメンバーの能力活用だ。一人一人を思いこみ、先入見を外してその人の能力を、存在価値をフルに発揮してもらうことだ。思わぬ能力、特技を持っている、ということが分かるはずだ。一言で言えば「ダイバーシティ全員経営」。もう一つはやはりビジネスモデルだ。その企業の風土に根差した「日本型ビジネスモデル」。全員でビジネスモデルを創り上げ、全員でビジネスモデルを回し、進化させていく。一人一人の創造性を引き出し、商品化して、他社にない差別化要素を磨いていくことができれば、「なくてはならない企業」に変貌していくことができる。