ソニーの新しい取り組み

電車の車内でパナソニックの電子広告をよく見かける。冷蔵庫、洗濯機。最近では髪のカール器、それに美トレ。ジョギングをしながら、腹筋も鍛える商品。最近パナソニックの津賀社長が「大ヒット商品狙いからお役立ち商品の開発」に開発方針をシフトすると言っていたが、その方針に沿った商品が次々と市場に出てきているように感じられる。

さて、ソニー。最近の平井社長のインタビュー記事を読むと、「オープンイノベーション」方式で社外にある差別化された技術やイノベーションとの連携、融合を計ろうとしている。発想はベンチャーと一緒に新商品を「共創」していくということだろう。

この記事を読んで思い出したのは米国のGEだ。GEはエジソンが最初京都の竹からフィラメントを作ったこともあり、日本のベンチャー企業に強い関心を寄せている。数年前、あるベンチャー企業A社の商品開発のサポートをしていた時、その企業の医療装置にGEが関心を持ち、GEの赤坂オフィスでプレゼンをしてほしいとの要請があった。同社の社長はいたく喜んだ。「GEにも認めて貰えた」というわけだ。プレゼンの日、GEが声を掛けた日本のベンチャー企業が20社以上集まり、分野別にGEのスタッフ(米国本社からも多数来ていた)にプレゼンをした。A社の医療装置はもう一つ精度が足りず、結局採用迄には到らなかったが、私自身はGEが日本のベンチャー企業の開発情報をきめ細かく収集していることに改めて驚かされた。

「オープンイノベーション」と言っても待っているだけでは、掛け声だけでは、相手はやってこない。ソニーがどのようにベンチャー企業とその開発技術に積極的にアプローチしていくのか、そのアプローチにソニーらしさがなければGEの後塵を拝することになるだろう。米国GEは金融からモノづくりに回帰している。GEの日本のベンチャー企業に対する誘い掛けは更に熱を帯びてくるのではないだろうか。