デジタル時代の新たな方向性
マッキンゼーは2012年8月の「ソーシャル・エコにミー」に関するレポートで、企業はソーシャル・テクノロジーの活用によって、顧客価値及び生産性の向上で、主要な産業セクターにおいて9000億ドルから1兆3000億ドルの市場インパクトをもたらすとの推計を発表しているとのことだ。恐らく今の時代は企業にとっても、顧客にとってもかつてないほどの大規模な転換期なのだ。言葉を代えて言えば大きなチャンスがあると同時にたちまちにして滅びてしまう脅威の時代でもあるのだ。リアルな世界のイノベーションとデジタルな世界でのイノベーションが、相互に影響し合って、すべての人々を程度の差はあっても、巻き込んで前進している。しかし、日本はこのデジタル・イノベーションの世界では明らかに出遅れていると思わざるを得ない。グーグルもフェースブックもアマゾンもユーチューブも全てアメリカから来て、日本を席巻している。なぜ日本から世界に向かって、世界を席巻していくようなデジタル・イノベーションが生まれないのだろうか。しかし、このような急激なイノベーションの時代にあっても大切なことは変らない。一部の人達ではなく、普通の人達が普通の生活の中で人生を豊かにし、幸せを感じ、自分達の仕事と生活の未来に希望と信頼を寄せられる世の中を、社会をつくるということだ。これは成熟社会にとって欠かすことのできないあり方だ。そのためにもデジタルテクノロジーのユニバーサルデザインと情報リテラシーが必要だ。分りやすく、簡単で、実際に役に立つ。そしてセキュリティもしっかり守られるようなサービスが期待される。