デフレ下のビジネスモデルからの転換・鍵となるのは?

デフレ下のビジネスモデルとインフレ下のビジネスモデル。現在日本経済はデフレを脱却してインフレに向おうとしている。ここでデフレ型のビジネスモデルとインフレ型のビジネスモデルの特徴を整理してみたい。

まずデフレ下のモデルはまず価格的に安価であることが前提になるが、それに加えてお値段以上の機能があるかどうか、が重要な問題になる。「お買い得」かどうか、ということである。ニトリがこのメッセージでテレビコマーシャルを流していた。ユニクロも同じビジネスモデルと思われる。

一方インフレの時代は価格よりも「価値」が重視される。生活の必需品についてもどのような価値があるかどうかが問われる。つまり価値を評価できる基準と目を持っているかどうかが問題になるという訳である。価値を正等に評価できる基準と眼をどのようにして身につけることができるのか。いずれにしても価値に相応しい金額を支払うというのが購入者、消費者の行動倫理になっていく。特にこれからの成熟社会では文化的な商品、サービスが増えていく。ビジネスモデル的には「価値づくり」がテーマとなる。

問題となるのは現在世界的な社会現象となっている社会における格差だ。日本社会の格差拡大は深刻な問題だ。吉野家の安い牛丼を頼りにしている人々は少なくない。普通の食事ができない子供が300万人もいるという。社会のある部分は依然としてデフレ、資産を持っている一握りの人々がインフレ、という混在したまだら現象が今日本で広がっているのではないか。政策的なインフレ誘導は収入、つまり実質所得の増えない人々に更に犠牲を強いることにならないだろうか。