デリバリービジネスのビジネスモデル

 

最近ある焼き菓子のパティシェと話す機会があった。現在私の方で進めているビルの緑化・菜園化プロジェクトで彼の協力・アドバイスを貰いたく相談に行ったのだが、ちょっと意外な話を聞いた。それはある大きなカフェMのケースだが、現在お店の売上が店舗内よりもデリバリーの方が上回っている、ということだった。デリバリーは昔風に言えば「出前」だ。デリバリー専門ということであれば、ピザとか寿司の「銀のさら」などがあるが

(わが家にも定期的にチラシが入る)、店を持ちながら配達もするというのは昔からあった。

そば屋の出前はその典型的な例だ。田坂 広志氏はその著「使える弁証法」の中で次のように述べている。弁証法の「螺旋的発展」とは単なる復活や復古ではなく、必ず新しい価値が付け加わっており、その価値はハイタッチ、「温かさや心配り」だ、と。今後日本は世界に類を見ない高齢化社会に入っていく。高齢者はどのような消費行動をとるだろうか。若い人ほどせっせと店に来るということはまず期待できないだろう。そしてお届けするにしても「温かさやきめ細かい心配り」を期待する。私の叔父叔母は江戸川区で長いこと衣料品商店をやっていた。スーパーが進出してきてからは方針を転換し、高齢者に的を絞って、商売を続けた。お店に来るお客様の愚痴を聞きながら、一方足腰の弱ったお客様には電話で注文を聞いてお届けした。その際、叔父さんの頭の中に蓄積された顧客データがモノを言った。そうして地元の高齢者に寄り添った商売をしてきた。今後すべての店が店でお客様を待っているだけでは売上も伸びず、低迷していく可能性が大きいと私は感じている。デリバリー専門と違い、リアルの店とデリバリーを両立させながら、相乗効果を生み出し、お客様にとってもお店にとってもいい、というビジネスモデルがほしいところだ。今後、店と店の周辺へのデリバリービジネスとが売上を構成していくことだろう。あの大きなカフェMのように、デリバリービジネスの市場規模が店での販売の市場規模を凌ぐ時代が来るかもしれない。目的に合致した優れたビジネスモデルがいくつも生まれてくるのではないか。当社もこの分野のビジネスモデルづくりに取り組んでいきたい。