ネスレ日本社長 高岡氏の日本型ビジネスモデル

 

ネスレ日本の高岡社長は意気軒昂だ。高岡氏はインタビューの中で次のように述べている。

「日本企業は今、発展を遂げるアジアの成長を取り込むのに躍起ですが、我々がターゲットとするのは日本だけです。完全な内需型企業といっていい。少子化を背景に、日本は先進国の中で真っ先に経済が衰退しています。欧州の先進国もいずれ日本のように、「失われた20年」に入るでしょう。私の使命は、20世紀にできあがった日本の様々なルールを壊し、21世紀型のビジネスモデルをつくり上げることです。それは将来、欧米先進国で展開するネスレグループの経営のモデルになるかもしれません。最高におもしろい挑戦ですよ。」高岡氏の言葉、「最高におもしろい」という高揚感、充実感が私には分かるような気がする。氏は経済が衰退する日本の中で、日本市場だけをターゲットにして営業利益をこれからも伸ばそうとしている。秘策があるはずだ。ここで日本型ビジネスモデルの観点から高岡氏のビジョンを私なりに整理しておきたい。

1.氏は日本の市場の大きさだけでなく質を高く評価している。ブランド価値の確かな理解力を日本の消費者は世界市場の中で抜きん出て持っている。それは日本文化の伝統によって支えられている。

2.少子高齢化の時代、高齢者が大きなマーケットになってくる。また高齢者の購買力は高い。購買の動機は生活を健康で豊かに、そして人生を充実したものにするところにある。この高齢者向けにも新しいイメージと商品でブランド浸透力を高めていく。

3.日本は世界に先駆けて、経済成長の後の成熟経済の「幸福モデル」のまたとない実験場になっている。この日本型モデルはこれからの世界にとってグローバルスタンダードになる可能性が高い。市場の成熟とはどのようなものなのか、どんなことなのか、日本が見える化してくれる。