ビジネスとプラグマティズム

ビジネスモデル、利益モデルについての理論が構築されたのはアメリカだった。そのことを考えているうちに、ビジネスとプラグマティズム(功利主義・実証主義)はどこかで関係しているのではないか、と思い到った。プラグティズムはアメリカで生まれた。ウイリアム・ジェームスが有名だ。私の本棚にはウイリアム・ジェイムス著作集 1「心理学について」(日本教文社)と「宗教的経験の諸相 上」(岩波文庫)の2冊がある。若い頃、関心の赴くままに拾い読みした記憶があるが、それほど深入りすることはなかった。当時の私にはヨーロッパ哲学、特にドイツ哲学が馴染みやすかったように思う。

プラグマティズムは概念と行為の結び付きを重視した考え方であり、行為として結果が出ないような概念、思想は空疎である、という性格を強くもった主義であるように思われる。日本的に言えば「言行一致」ということになるだろうか。東洋思想では陽明学が同じような思想に立っている。プラグマティズムは功利主義、実証主義と説明されるが、私的にまとめると「目的としている結果を生み出すための思考の整理と具体化」ということになる。ビジネスの分野では大きな成果を生み出すと思われるが、思想、政治の分野ではラディカル(急進的)な部分もあると言われている。陽明学が日本で定着しなかったのは理由のないことではないだろう。その意味ではアメリカはプラグマティズムの「いいとこどり」をしたと言えなくもない。