ビジネスモデル‐現実と未来との間の往還

ビジネスモデルをデザインする場合、現実を踏まえつつも、その彼方に未来を見る遠近法的思考が求められる。目指すべき自分達の未来をどのような未来にするのか、可視化しようとする。そして可視化できた未来を自分一人のイメージではなく、皆で共有することが大事だ。その場合、問題になることが3つある。一つはその未来がそのグループあるいは会社にとってベストの未来かどうかだ。恐らくこの未来の選択が一番重要ではないか。企業の場合、大小を問わず自分の会社の将来像を描かない社長はまずいないのではないか。

中には毎月の資金繰りで精一杯という社長もいることだろう。しかし、それでも「会社をこうしたい」という思いは常にあるはずだ。クロネコヤマトの場合、「宅急便を扱っている会社」がベストの未来として、小倉社長により設定された。まだどこもやっていないが、ニーズはある、必ず儲かる、という判断があった。実際に事業を開始して5年後、損益分岐点を越えた時、初めて小倉社長は「これならいける」という確信を持ったとのことだ。

富士フィルムの場合、フィルムを扱っていない会社の未来を想定し、危機感を社内に醸成しつつ、フィルムで蓄積した技術を活用して、積極果敢に応用分野に進出していった。

どのような会社にするか。会社の未来を設定するのはトップの仕事だ。2つ目の課題はその未来にどのようにして到達するか、だ。ルートは複数あるかもしれない。その中でベストのルートを選ぶには現場の人間の声が重要な意味を持つ。なぜならルートを実際に歩くのは現場の人間だからだ。小倉さんはそのために社内で推進チームを作った。そして3つ目は現在の現実と未来の間に横たわっている深淵に橋をかけるという仕事だ。橋を架けるためには新しいアイデア、ブレークスルーが欠かせない。そのためには持ち場毎に全員の参画が必要だ。ビジネスモデルはベストの将来像が本当にベストなのか、検証する。そしてそこに至る迄のプロセス管理、アイデアの結集と構造化のために役に立つ、まさに仕組みづくりなのだ。大切なことは独自の価値の開発とそれを持続的な利益に転換することである。