ビジネスモデル‐現実・未来・未来と現実の間の深淵

ビジネスモデルのデザイナーは現実を踏まえつつも、その彼方に未来を見る。目指すべき未来がどんな未来になるのか、可視化しようとする。そして可視化できた未来を自分一人のイメージではなく、皆で共有することを望む。問題になることが3つある。一つはその未来がそのグループあるいは会社にとってベストの未来かどうかだ。恐らくこの未来の選択が一番重要ではないか。クロネコヤマトの場合、「宅急便を扱っている会社」がベストの未来として、小倉社長により設定された。まだどこもやっていないが、ニーズはある、必ず儲かる、という判断があった。富士フィルムの場合、フィルムを扱っていない会社の未来を想定し、フィルムで蓄積した技術を活用して、積極果敢に応用分野に進出していった。

どのような会社にするか。会社の未来を設定するのはトップの仕事なのだ。2つ目の課題はその未来にどのようにして到達するか、だ。ルートは複数あるかもしれない。その中でベストのルートを選ぶには現場の人間の声が重要な意味を持つ。なぜならルートを実際に歩くのは現場の人間だからだ。小倉さんはそのために社内で推進チームを作った。そして3つ目は現在の現実と未来の間に横たわっている深淵に橋をかけるという仕事だ。橋を架けるためには新しいアイデア、ブレークスルーが欠かせない。