ビジネスモデルが現実に着地する時

 

現在宅急便は無くてはならない社会インフラになったが、何事にも初めの一歩がある。

日本経済新聞の日曜版「経済史を歩く」にヤマト宅急便の草創期の記事が載っていた。

東京の中野駅近くに開いた直営店の浅沼肇氏(80歳)によれば、直営店は「中野宅急便センター」の看板を揚げていたが、元クリーニング店を改装したミニ店舗で、「私と事務員の2人だけで、机を置いたら一杯でした」。浅沼さんは朝夕駅前でチラシを配り、昼間は商店や会社に飛び込み営業に歩いたとのことだ。最初は「ウチに出す荷物は無いよ」と言われたが、結局初年度で170万個の取り扱いをするまでになった。これは当初の予定を大幅に上回る数字だった。この急拡大の鍵の一つは「翌日配達」をヤマトが守ったからではないかと思う。どのように優れたビジネスモデルでも最初は浅沼氏がやったような地道な、営業の基本とも言える足を使った営業が必要なのだ。そしてお客様との「約束」をぶれずに守り抜くことが大事なのだ。クチコミがクチコミを呼び、信用が次ぎの信用を生む、ということで小倉昌男氏のビジネスモデルは大変な成功を収めた。恐らく戦後最大の成功物語と言えるのではないだろうか。しかし、「最初の1週間は、預かる荷物はほとんどゼロでした」私たちがビジネスモデルをデザインして、実施に移す段階になった時、このヤマトの事例をいつも想起したい。