ビジネスモデルとインサイト、共感

 

2,3日前NHKのクローズアップ現代で映画監督の木下恵介氏を取り上げていた。木下監督は「共感」ということを映画づくりでとても大切にしていた、と脚本家で木下監督の助監督をつとめたことがある脚本家の山田太一氏が柔らかい言葉を使って紹介していた。現代は共感が希薄になった時代と言われる。若い女性が今の自分の気持に寄り添ってくれる感じのする木下監督の映画を自宅のパソコンで見つめている。私は人間が人間になるためには人生のどこかで共感能力を身につける必要がある、と感じている。私にとって共感能力を身につけることは、中年期で一番大切な、一番難しい試練というカタチをとった。しかし、共感能力は生涯かけて身につけるものだと最近感じている。さて私は数年前からビジネスモデルの研究をしているが、それまでのビジネスモデル関連の本の中では、「顧客を理解する」という個所は当然のことながら数多くあったが、「顧客への共感」というところまで踏み込んだものはなかったように記憶している。「ビジネスモデルジェネレーション」にはインサイト、共感マップというページがある。流石欧米の企業だ。ビジュアルシンキングを扱うXPLANE社は「共感マップ」という分析ツールを開発している。このマップでは顧客を観察するだけでなく、顧客の心の中に迄入り込もうとする。この部分は「インサイト」の世界になるだろう。「インサイト」できる人間がいるかどうか、それが決め手になる。ビジネスモデルをデザインする人は、この「インサイト」能力を一際求められる。