ビジネスモデルと心の温気

 

本をもっと読みたいと思うが、忙しさにかまけてなかなか読めない。ということで拾い読み、本の最初と最後のツマミ読みが多くなるが、時には私でも心に刻むようにして読む本もある。そんな時は泉から水を汲むような嬉しさがある。さて最近あるところで雑誌を読んでいたら、本読みには大変厳しい言葉が目に入った。「二宮翁夜話」の一節だ。「さて此の氷となりたる経書を世上の用に立んは胸中の温気を以って、能く解して元の水として用いざれば世の潤沢とはならず。氷を解すべき温気胸中になくして、氷の儘にて用ひて水の用をなす物と思ふは愚の至りなり」心の温気とはやる気、使命感、志というようなことだろう。日本人は熱しやすく、冷めやすい。一時的な興奮で熱くなるのではなく、どんなことがあろうとも初志貫徹の心の熱さを持ち続けることは簡単なことではない。氷を溶かし始めても熱が続かなくて、途中で読むのを諦めて止めてしまうことが多い。昔読書は「終身」の一つだった。現在でもその流れは続いているだろうが、現在の読書の目的は情報収集、娯楽が主になっている。さてビジネスモデルをデザインする場合にも、二宮翁の趣旨からは外れるが、やはり心の温気は必要不可欠だ。ヤマト宅急便の小倉 昌男氏は志の大切さを説いている。さてここで考えたいのは、そのような温気、志はどこから生まれてくるか。私は如何に真剣に自分が生きている時代と向き合うか、その姿勢の中から温気、志が生まれてくるように思う。時代がその人に与えるのである。