ビジネスモデルの要 顧客との関係

 

ビジネスモデルジェネレーションのキャンバス、「顧客との関係」に今回は注目してみたい。

以前私はどのような関係があるのか、関係の種類、カテゴリーに関心があったが、現在は

関係の動機と関係の発展段階及びその内容に関心が移ってきている。きっかけはブランド

コミュニティの本を読んだことと話題解析にあることで関心を持ったことだ。まず関係の

動機によってビジネスモデルの価値提案の内容が変わってくる。また関係性が深まれば関

係性が一方的なものではなく、相互的なものになり、更には協力、より望ましいカタチと

なるが、共創関係へと発展していく。どのような事業であれ、顧客がいなければビジネス

は成立しない。そして一旦獲得・開拓できた顧客をどのように維持していくか、それが第

2段階の課題となる。最終的な段階としては顧客により多く買ってもらう、より高価なも

のを買ってもらうことが目標となるが、この第2段階から第3段階にステップアップする

ためには関係の飛躍的向上、質的変化が求められる。ビジネスモデルジェネレーションで

はそれをコミュニティと共創という関係で説明している。まずコミュニティについては「顧

客や潜在顧客とさらに深く関わり、顧客同士のつながりを促進するために、ユーザーコミ

ュニティを活用する企業が増えている」として製薬大手のグラクソ・スミスクラインのケ

ースを紹介している。また共創についてはアマゾンの例を紹介。「顧客をレビュー執筆に誘

い、その結果、他の本好きの人たちのための価値を創造している」と。コミュ二ティも共

創もソーシアルテクノロジーの普及によって本格的に可能になった。コミュニティを活性

化させ、共創が持続的に行なわれ、高い質のものとなっていくためには、一種のエンジン

のようなものが必要ではないか。個人的には新鮮な話題解析と傾聴から一歩進んだ「対話」

システムが鍵を握るのではないかと考えている。いずれにしても「顧客との関係」はビジ

ネスモデルデザインの肝だろう、との感を強くしている。