ビジネスモデルの関所

ビジネスモデルをデザインする上で一番難しいのはやはり「利益が出るか」「利益が出るということを何を基準にして判断するか」というところにあるように思う。そしてそのビジネスモデルが環境変化に耐えて持続し、進化していくことができるか、も同じように重要であり、その見極めも難しい。短命的なビジネスモデルはやはり避けたい。まず「利益は出るか」についてヤマト運輸の小倉社長は「経営学」の中で以下のように述べておられる。

「ネットワークの損益分岐点を超さない限り、たしかに利益は出ないが、ネットワークの上を荷物がどんどん流れれば必ず損益分岐点を超え、利益が出るという性質のものだ。それが私の結論であった。だが、損益分岐点を超すのは一体どの時点か、それがわからない限り・・・実際に事業化に踏み切ることはできなかった」(P87)たしかにそうだ。

そして小倉さんの有名な損益分岐点の発見物語が続く。昭和48年9月小倉さんはニューヨークのマンハッタンで四つ角の交差点に「UPSの車が4台停まっているのに気がついた」。小倉さんはそこで閃いた。「いまひとつ、集配車両単位の損益分岐点があるのではないか。そう思ったのである。」(P87)この瞬間小倉さんは「問題は、1台当りの集配個数をいかに増やすかにかかっている」(P89)それができれば絶対儲かる、と確信した。ここで大事なことは損益分岐点を全体と個の二つで判断したということである。全体の損益分岐点はどうしても抽象的になるし、数字合わせのようなことになりかねない。ところが個であればコストも正確に計算することができるし、利益の出し方も見えてくる。マンハッタンの4台の集配車はそのことを小倉さんに気付かせた。そこからセールスドライバーという考え方、下請けの集配禁止という方針が出てきた。

重要なことは「利益が出る」と判断するだけではなく、確信するということである。その確信が強ければ不退転の決意でビジネスモデルの実現に向うことができるはずだ。

そしてビジネスモデルの持続性、発展性については、差別化の程度にかかっている。ヤマトは「翌日配達」を打ち出した。「実際、初めて宅急便を利用した人は皆、荷物が翌日着いたのに驚いていた」驚くくらいの差別化だったのだ。

小倉さんの経営学から繰り返し、繰り返し学び続けたいとビジネスモデルをデザインする際、いつも思わされている。