ビジネスモデルは組み合わせ・お絵描き教室とケーキ屋さん

 

関西の知人から興味深い話を聞いた。それは町のケーキ屋さんが繁盛店になった経緯だ。このケーキ屋さんではお店の一部を使ってお絵描き教室をやっていた。実際は託児所的な意味合いもあったようだ。お母さん達はお絵描き教室に子供を預けてデパートに買物に行ったりして、帰りにお絵描き教室に寄って子供を連れて帰る。その時、子供達がお母さんにお店に並んでいるケーキを買ってほしいとねだる。お母さんは待たせていた子供の手前、買ってあげる。そうすると他の子供達も同じような行動に出る。ケーキ屋さんはそこで閃いたようだ。「そうだ。子供達が喜ぶようなケーキをつくろう」このケーキ屋さんはビジネスモデル的に言えば、顧客を発見し、顧客をセグメント化した。次に価値提案として子供が喜ぶような飾り付け、キャラクターなどを加えた。味もきっと子供向けに甘くしているのだろう。今では「子供のためにケーキ屋さん」ということで有名だそうだ。親は子供にねだられるとついつい買ってしまう。子供市場は大きいのだ。デザインも、大袈裟に言えばイノベーションもビジネスモデルも「新結合」の創造と言える。このケーキ屋さんはお絵描き教室とケーキの「新結合」を考え、子供市場に特化して成功した。ただここで見落としてならないのは、このケーキ屋さんのお客の感情に入り込む視線だ。母親とケーキをねだる子供の様子を注意深く観察していたはずだ。「新結合」を生み出す際、私たちもこのような視線を持ちたいものだ。