ビジネスモデルキャンバスへの一提案・価値提案について

経営者が投資家と対話する時代になった。最近私が知ったケースは岐阜県大垣市にある100円ショップセリアだ。同社の社長河合氏は「投資家に関心を持ってもらうには会社に魅力がないとダメだ」との思いから、現場の勘や経験に頼らないデータ経営に舵を切り、独自に開発した数理モデルで規模を大きくしながら在庫の回転率を高め、売上高1000億円超、ROE25%を達成した。河合社長は「投資家の胸に響く経営をしたい」との思いから投資家との対話を大切にし、それを経営革新の糧にしているとのことだ。

ここで私が気付かされ、考えたことは「対話価値」ということだった。つまり対話が新しい価値を生み出す。

「ビジネスモデルジェネレーション」の中では9つのブロックが紹介されている。その中に「価値提案」と言うブロックがある。その「価値提案」を「顧客との関係」というブロックを通じて「顧客セグメント」に提案する。これを図式化すると

価値 → 伝達 → 使用 ということになる。一方新しいコミュニケーションモデルとして以下のような図式がある。

伝達 → 価値 ← 使用 (以上、石井淳蔵氏の「ビジネスインサイト」P222)

価値は対話を通じて生み出されるものだという考えがある。

新しいコミュニケーションモデルに私も賛同するが、私なりに少し手直しして以下のような図式を考えてみた。

一次価値 →伝達 → 二次価値(共創価値)← 使用

セリアの場合も自社開発の数理モデルとそれに基づいたデータ経営という一次価値があればこそ、共創価値が生まれたのではないだろうか。

顧客について言えば、価値を提案してそれを顧客に効果的に伝えるだけではなく顧客との対話が必要だ。従来難しかった顧客との対話は最近のソーシアルテクノロジーの進歩で可能になった。この間の事情は「ソーシアル時代のブランドコミュニティ戦略」(小西圭介ダイアモンド社に詳しく書かれている。

一次価値は顧客との対話を通して、顧客と共有する共創あるいは発酵価値となっていく。

それは一層味わい深いものとなる。