ビジネスモデル・3つの役割

 

ビジネスモデルには3つの役割があるのではないかと思う。一つは今迄無かった新しいビジネスを作り出す。例えばITを駆使した仮想店舗の楽天。また個人の貨物市場を開拓したクロネコヤマト。ビジネス街の男性の菓子ニーズを開拓したグリコ。この他にもまだまだある。新しいビジネスを創り出すのは大変だが、ビジネスモデルの真価、実力が如何なく発揮される分野だ。私自身もこの分野で、まず1つやってみたいと思っているプロジェクトがある。それは新しいタイプのローカルメディアシステム。さて2番目は今ある事業の再生だ。今迄やっていたが、頭打ちになり下降線を辿り始めているビジネス、ニーズはあるのだが採算的に厳しくもうやっていけないと経営者が諦めかけているビジネス。JALをアメーバ経営で復活させた稲盛和夫氏、新しい「おもてなし」のコンセプトと合理化で旅館の経営に革新をもたらした星野リゾート。この他にもハウステンボスの復活など、この分野での事例は多い。私自身この分野でやってみたいのは「都市農業の再生」だ。

3番目は今迄価値がないと思われて捨てられていたもの、関心を持たれていなかったものに新しい時代の光を当てて、価値を生み出す「もったいないビジネス」。この分野では製品規格からはずれたものを「訳あり」として、低価格で販売するビジネスがある。しかしそれだけではないだろう。この分野で考えたいことはビジネスモデルを導入することによって新しい、公共的な価値を生み出すことだ。その意味ではバングラデッシュのグラミフォンは参考になる成功例だ。貧しい村民が携帯電話を持つようになって新しいビジネスの機会が増大した。貧困と女性の地位向上につながっている。日本の事例では読んだ本のリサイクルを進めるブックオフ。「もったいない」と思えることは周囲を見渡すといくらでもあるのではないか。人、モノ、コト、時間、お金、情報、自然・・・。私自身やってみたいのは人だ。定年退職で家庭に、地域に帰還した企業戦士に、新しいやりがいのある仕事の場を提供するビジネスモデルだ。競争ではなく共創・共生がコンセプトになる。企業戦士のための第二の仕事はどうあるべきか。趣味の世界だけでは寂しい。