ビジネスモデル転換とブランディング

「ソーシアル時代のブランドコミュニティ戦略」(小西圭介著 ダイアモンド社)を今日やっと読了した。230pの本で、第4章迄は一気に読んだが、一休みしてしまい、第5章、第6章を読むキッカケがないまま、そのままになっていた。他の本を読む必要もあり、ちょっと後回しになってしまった。読みきった後、本を閉じ暫く考えた。この本の内容が、現在私がやっている仕事、これからやろうとしている仕事にとって、貴重な示唆を与えてくれるであろうことは分かっているが、さてどこから手をつけたら良いか、あるいはその前に確認整理しておくべきことは何か・・・というようなことである。小西氏は現在、
「生活者や社会の変化の本質」を見るべきと言う。どういうことか。それは「共創」の時代に入っているということだ。「今は、人々がこれまでにない形でつながり、新たな「価値」を生み出していく時代であり、それがビジネスの構造をも大きく転換しつつある時代である」。小西氏はこれからの時代はビジネスモデルが「顧客との価値共創」型に転換していく、と見ている。そしてブランドはそのようなビジネスモデルを駆動するエンジンとして活用できる、としている。ここでのキーワードはイノベーションのための「共創」である。顧客との「共創」については2009年6月に出版された「イノベーションの新時代」(C.K.プラハラード著 日本経済新聞出版社)の中の「ビジネスの変容」の中でも理論的に詳しく述べられている。顧客と共創するためには、どのようにしたら良いのか。小西氏は「主語」の転換、形容詞から動詞へ・・・など、私達の既成意識を変える提案している。私はそれらも踏まえて、やはりビジネスの生態系のあり方を根本的に「有機的なもの」に変える時代に来ている、との認識を持つことが重要ではないかと考えている。企業と顧客の二項関係だけでは、限界があるのではないか。また小西氏は今後ソーシアルテクノロジーが形成する「コミュ二ティ」の重要性を一貫して述べている。一方コミュニティ運営の難しさもあり、小西氏は「コミュニティ・マネージャー」という新しい役割も出てくると考えている。コミュ二ティは指揮・命令で動くピラミッド型の組織とは違う。そこは上下関係がない、平等な、フラットなプラットフォームである。これからの時代はビジネスモデルにも大きな転換の時代となる。180度の転換になるだろう。テーマは「価値の共創とそれを生み出すコミュニティの形成」ということになる。そのためにも私たちの意識が変わることが必要だ。小西氏が本の中で取り上げている、HONDAの「負けるもんか」と東日本大震災の時「被災地の社員達が自発的に救援物資を無償で運んでいる」エピソードは、私たちに貴重な示唆を与えてくれる。