ピンチとチャンス

豊臣秀吉の中国大返しは有名な話だが、黒田官兵衛が秀吉に囁いたと言われる「あなたさまに、ご運が向いてまいられましたな」という言葉も有名だ。NHKの日曜日夜の歴史ドラマでもこの会話が取り上げられていた。官兵衛が秀吉に説いたのは「これは危機ではなくて、天下をとるための千載一遇の好機と考えて行動すべき」であり、そのためには「草履片々、木履片々」だった。(「武士の一言」火坂雅志)つまり片足に草履、片足に下駄という不完全な状態でも走り出さなければならない時がある。官兵衛は秀吉の心にいわばダイナマイトをしかけ、爆発させた。秀吉はこれで発想の完全転換ができた。ここが官兵衛の凄みであり、後年秀吉が官兵衛を警戒するようになった遠因ともなった。

そこからとるものもとりあえず秀吉は清水宗治と講和して、中国から京都への大返しを敢行した。その後のことは周知のことなので割愛するが、チャンスをつかむために2つのことに留意したい。

1.チャンスは最初ピンチの姿に見えることが多い。発想の完全転換をするためには、心の中でダイナマイトを爆発させ、マイナスの感情を吹き飛ばすことが大事だ。中途半端ではいけない。

2.そしてピンチをチャンスに変えるためには何よりも行動すること、走り出すことだ。そのためには勇気がいる。恰好を気にせず前に向って進むことが大事だ。

走りながら考える。考えながら走る。

 

恐らく多くの成功した企業家は1と2を経験しているのではないだろうか。