プロデューサーの企画力・クリエイティブ力

 

津田氏はクリエイティブ力について興味深い説明をしている。「プロジェクトの前提として重要な要素になる。プロデューサーのセンスが出るところである。自分が持っていない技術、知識、感性は優秀な周囲のブレーン、スタッフからいいものをピックアップし、具体化していく。豊かな経験や知識、柔軟さが目的に合った最適なアイデアを生み出していくのである」津田氏はオレについてこい、オレの考えに従え、というやり方ではなく、周囲の人達のいいものを見つけ、引き出し、それらを総合的にまとめあげていく、いわば編集力をプロデューサーのクリエイティブ力と見ている。勿論高い編集力を発揮するためには「豊かな経験や知識、柔軟さ」がプロデューサーには求められる。一人一人のいいものはやはり仕事を実際にやる中で出てくる。現場で確認する事柄なのだ。プロデューサーには周囲の人々を観察し、洞察する能力がなければならない。そのためには「無私の精神」が求められるのではないだろうか。自分のバイアスをかけて人を見ると判断ミスが起こりかねない。私は以前、クリエイティブ力とは何か新しいものを生み出す力と考え、一時創造性開発の勉強に嵌ったことがある。何か新しい考えを生み出すためには独創性が必要だ、と考え、いろいろな創造性開発に関する本を読んだ。その中で、今でも使わせていただいているのは、市川亀久弥氏が提唱した「等価変換理論」だ。昭和48年に出版された氏の著作「創造性の科学」を浦和の埼玉県立図書館から借りてきて読み、その等価方程式に驚いた記憶がある。「等価変換理論」はアナロジーを活用した創造性開発理論だが、知る人ぞ知る理論だ。そして現在創造性とは個人の頭の中に浮かんでくるアイデアだけではなく、人のアイデアと他の人のアイデアを結びつけること、社会の中のある部分と他の部分を結びつけて、新規性と社会性を生み出すことではないかと思い始めている。結びつけて新しいものを生み出すデザイン力、それが本当のクリエイティブ力ではないかと思い始めている。