マンションの基礎問題と責任の所在

三井不動産レジデンシャルのマンション傾斜問題について思うのは、ひょっとすると東日本大震災がこの問題を顕在化させたのではないか、ということである。今回の杭打ち工法を見ると、支持層に杭を到達させ、食い込ませ、地盤と一体化するためにコンクリートを流し込んで固める、という工法であり、素人目に見てもしっかりした工法のように思えるが、問題は工法よりもそれを施工した人間の方にあるようだ。つまりヒューマンエラーだ。

それではなぜヒューマンエラーが起ったのか。もっと言うならば、何がヒューマンエラーを起こさせたのか、それが問題だ。旭化成建材で今回の問題を起こした担当者に対して徹底的な追及が現在進んでいると思われるが、個人の過失という結論には矮小化することができない問題だ。もしそのようなことになったらまたどこかで同じ問題が起る。

当り前のことだが、建物で一番重要なのは、基礎だ。以前私が関係した建築案件で、地盤が悪いところに建物を建てることになった。実際に施工する段階になって当初計画より、長い杭を、また杭の本数も増やして、基礎をつくった。一方隣に建ったビルは途中で解体され、基礎からやり直しとなった。費用もかかり、時間もかかり、大変な損失が発生したのではないか。基礎の重要性に改めて気付かされたことだった。

さて基礎について考えていると、人生にも、事業にも基礎と言えるようなものがあるのではないかとの連想が働いた。人生、事業の基礎、支持層とは?