一人で生産、流通、販売のサプライチェーンをつくりあげる

 

栃木県益子町で有機農業を営んでいる川田農場の社長がTVで取り上げられていた。無農薬・有機農業の野菜を育て、その味の良さで特にレストラン、料亭から好評を得ている。

契約先は170件に上るとのことだ。川田農場の野菜にほれ込んでいる。ところが社長は独学で自分なりの無農薬・有機栽培をつくり上げたとのことで、プロの農家の皆さんから呼ばれて講演をしている。一度畑に来て農作業をしないと、野菜を売らないというユニークなルールもある。私が感心したのは、日中の農作業で疲れているはずなのに、自分で車を運転して、客先の一つずつ届けている姿だ。社長はレストランのお客さんがどんな表情で自分の農場の野菜を食べているか、観察している。販売をしながらマーケティングをしているのだ。全部配り終わると午前3時。それから栃木に戻り、朝から畑に立って作業している。文字通り重労働だ。得意先からの要望で珍しい野菜も栽培している。私の記憶が間違っていなければ約200種類近くの野菜を栽培している。私はこれからの農の匠は生産技術だけではなくマーヶティングの技術も兼ね備えていなければならないと思っている。川田農場の若い社長は一人でサプライチェーンをつくり上げている。これは画期的なことだ。東京の屋上で無農薬・有機農業の野菜を育てている私も大いに勇気付けられた。