中小企業の経営革新のポイント

日本の中小企業、特に非製造業の経営革新力が弱いことが以前から指摘されている。今後の経営革新のポイントは何か。私は3つあると考えている。

1.整理整頓の仕組みが出来ていない。整理整頓というとキチンと片付けるとか要らないものはドンドン捨てる、ということをすぐイメージするが、本来の目的は仕事の流れを見える化するということと、探すという無駄な時間をつくらない、というところにあるのではないかと思う。探しながらイライラするというのは感情労働のそれこそ無駄使いでもある。笑顔が苛立ちになってしまう。整理整頓も続けながら改善していく、改善しながら続けていくという循環的なサイクルも大事だ。整理整頓が楽しくなれば、シメタもの。目に見えるものの世界だけではなく、情報、人間関係についても同じことが言える。整理整頓の世界は目に見える世界から見えない世界にまで広大に拡がっている。

2.第二は中小企業の社長は良きナンバー2を持つ、ということだ。社長は会社のことを誰よりも考えている、というのは当然のことだが、いつの間にか思い込み、独りよがりの世界に入り込み、物事を見る視点が少なくなってしまう。それを食い止めるのがナンバー2の役割でもある。革新は複数の立場、複数の視点、複数の人間から生まれてくる、と考えたい。

3.最後の3つ目は、会社として社会を良くするためにどのような価値を提供するか、人々が必要としている新しい需要をどのようにつくっていくか、そしてそれをどのようにして稼ぐ力に結びつけていくかだ。会社にとって何が「肝」かはっきりさせる必要がある。それが分ればITパワーの導入ということになる。経営プロセスの肝にITを集中的に投入したら利益が増加するはずだ。そのためにも経営プロセス全体をカバーするビジネスモデルと利益モデルのデザインが求められる。価値と利益、この2つがキーワードだ。