人生の道理
かつて人間学が流行り、安岡 正篤氏の本がよく読まれた。いや今でもよく読まれているのかもしれない。私もある方から勧められて氏の本を何冊か頂いた。まだ40才台の頃のことだ。「朝の論語」「伝習録」「為政三部書」。論語と陽明学と元朝初期の名相帳養浩の政治論。正直歯が立たなかった。読み続けることができなかった。その頃、自分自身を変えたくて、暗中模索していた。もがいていた。中年期の危機だったのだ。もう先が見えたと思ってもいたが、そう思いたくない自分もいた。当時は自己啓発ブームで手当たり次第にいろいろな本を読んだが、その中で特に参考になったのは邑井 操氏の本と桜木健古氏の本だった。お二人の本は分かり易い事例で、人生の真理、道理を説いている。当時の自分がお二人の考えをどこまで吸収できたか、今振り返ってみると冷や汗ものだが、自分の血肉の一部になったことは確かだった。
最近本棚から邑井氏の本と桜木氏の本を久しぶりに取り出して読んでみたところ、頷くことが多々あった。人間関係にも「再会」の喜びがあるが、本についても同じことが言えそうだ。本と人生。ささやかではあるが自分なりに人生経験を積んで、改めてお二人の本を味読している。