人生相談僧侶・臨床宗教家

お寺で僧侶のいないところが増えている。他のお寺の住職を兼任している僧侶も少なくないようだ。過疎化、人口減少問題がここにも影を落としている。そのような状況の中で、シニアを出家を受け入れ、僧侶として養成する取り組みが行われている。1年間の修行を行い、試験?にパスすれば、僧侶になる。ところで興味深かったのはそのようなシニア僧侶の養成責任者の僧侶が言った言葉だ。

「普通のお坊さんになるのではなく、その人生経験を活かして世の人々に寄り添う働きをしてほしい」

人生の問題をお坊さんなり、牧師なりに相談すると宗教者らしく、それぞれの教えに立ってアドバイスしてくれることだろう。それはそれで十分意味のあることだと思う。しかし最近私は自分と同じような人生を歩んでいる先輩から、多くのことを教えられている。私達夫婦の前を歩んでいるご夫婦だ。詳しく話さないでもこちらの状況を分ってくれる。何よりこころ強いのはそのご夫婦が既に問題を乗り越えつつ、前に向って歩んでいる、ということである。それは希望を与えてくれる。私もいつかそのような存在になれたら、と思う。私はこのご夫婦から人に寄り添うとはどんなことなのか教えられている。

それはそれとしてシニア僧侶の方達の今後の活躍に期待したい。シニア僧侶に自分の話を聞いてほしいという檀家の人もきっと少なからずいることだろう。カフェデモンクのリーダー、通大寺の金田住職は東日本大震災の被災地の人々の相談に乗っている。臨床宗教家の時代がやってきている。人生のその場その場の現場に立って傾聴し、人々に生きる希望を灯す人達が求められている。