人生複合経営時代?

 

私が会社に就職した頃は社員にいろいろな職種を経験させる時代だった。専門職よりもつぶしの効く「オールラウンドプレイヤー」を求めたのだろう。勿論本人の適性もあるし、会社としても特に管理部門はそれなりの専門知識も必要なので、専門職もいたが人材育成思想としてはやはり「オールラウンドプレイヤー」だったのではないかと思う。私の場合は広報課から輸出担当の営業に移り、最後迄営業担当だった。営業も最初は鉄鋼製品の輸出を担当し、その後軽金属・非鉄金属の輸出入、最後はプラント輸出でマレーシア駐在も経験した。私の広報課時代のすぐ上の上司は国内の営業に移っていった。また課長は、その後人事課長となり、その後国内営業に変っていった。いろいろな部署を経験し、視野と経験の幅を広げさせるというのは確かに意味のあることだ。いわば会社の中で「学際的知識・経験」を広げることができたのが、私自身現在でも役立っているように思う。学際的知識は創造性の土壌にもなるのではないだろうか。そして時代が変り、現在では仕事の内容も複雑・高度になり、専門的知識・技術が要求される時代になった。今後ますますその傾向は強くなるだろう。と同時に学際的な資質も同じように求められるようになるのではないかと思う。一つのことができる。それはそれで大切なことなのだが、全体を見ることはそれ以上に重要なことではないだろうか。ということで私はこれからの時代、少なくとも2つの専門分野を持つことを考えたい。知識だけでなく人脈も2種類持つことができる。その2つの専門分野もできれば知的労働と肉体労働とバランス良く持てれば最高だ。ある牧師は静岡県伊豆半島の南部で教会の牧師をしながら、農作業に従事している。稲作と畑作三反の農作業に取り組んでいる。牧師は言う。野菜の姿から学ぶことは多い。小松菜はまけば繰り返し繰り返し芽を出し、人の食糧になってくれるけなげなさに、胸を打たれる。私も繰り返しだれかの役にたつ人でありたい」教会の門にはこんな文言が掲げられている。「神を愛し、人を愛し、土を愛する」。北欧デンマークで農業立国を成し遂げた、牧師で政治家のグルントイの言葉だ。私もささやかながら、都市部の屋上菜園を中心とした都市農業と日本の風土に根差したビジネスモデルの発掘と現代における温故知新、ビジネス化の2つをライフワークとしている。まことに小さな仕事だがこれらの仕事を通じて日本の人々の行く手を導く希望の灯の一つとなれば幸いだ。